正負の数の足し算・引き算|符号と括弧で迷わない計算手順(中1)

中学1年生 / 正負の数クラス

正負の数の加減は、符号をもつ数の足し算として考えられる。

足し算は符号と絶対値に注目し、引き算は引く数の符号を変えて足します。 たとえば、(−3)−(−5)は(−3)+(+5)に直せるので、答えは+2です。

同じ「−」でも、負の数を表す符号と、引き算を表す記号があります。まずこの役割を読み分け、答えの符号と絶対値をどう決めるかを確かめましょう。括弧や分数があっても、この考え方を使えます。

符号と計算記号を読み分ける

正負の数の式では、同じ「+」「−」でも、数の符号と計算の記号という二つの役割があります。まずは、この違いを式の中で確かめましょう。

数の符号と引き算の記号を区別する

一つの数を括弧で囲んだ式では、括弧の中の「+」「−」は数の符号、括弧の間の「+」「−」は計算の記号です。

例 01三つの「−」を読み分ける

(−3)−(−5)には「−」が三つあります。括弧の中と外で役割が違います。

(−3)の「−」:3についている負の符号。

括弧の間の「−」:引き算の記号。

(−5)の「−」:5についている負の符号。

式全体では「−3から−5を引く」という意味です。数字の3と5だけでなく、それぞれの符号と計算記号を合わせて読み取ります。

足し算を加法、その答えを和といいます。引き算は減法、その答えは差です。加法と減法を合わせて「加減」と呼びます。

また、絶対値は数直線上で0からどれだけ離れているかを表す数です。−3の絶対値は3、+5の絶対値は5。この後は、数の符号と絶対値を分けて使います。

足し算は符号と絶対値で決める

数直線で足し算を考えるときは、最初の数の位置から動きます。正の数を足すなら右へ、負の数を足すなら左へ進み、移動する距離は足す数の絶対値です。たとえば、−2を足すことは左へ2進むことを表します。

同符号は絶対値を足す

正の数どうし、負の数どうしのように、符号が同じ数を同符号の数といいます。どちらの場合も0からさらに離れる向きに進むため、答えの符号はもとの数と同じで、絶対値は二つの絶対値の合計になります。

例 02負の数どうしを足す

(−3)+(−2)は、−3の位置から左へ2進む計算です。

同符号の足し算。−3の位置から左へ2進み、−5に着く。1目盛りは1。
1目盛りは1。白い点が開始位置、赤い点が到着位置です。−2を足すと、−3から左へ2進みます。

(−3)+(−2)=−5

0から左へ3離れていたところから、さらに左へ2進みます。0からの距離は3+2=5になり、位置は0の左側のままなので、答えは−5です。

正の数どうしでも同じで、(+3)+(+2)=+5です。同符号なら、絶対値を足して共通の符号を付けます。

「足し算だから答えが大きくなる」とは限りません。負の数を足すと左へ進むので、数は小さくなります。

異符号は絶対値の差を求める

正の数と負の数のように、符号が違う数を異符号の数といいます。右向きと左向きの分が打ち消し合うため、二つの絶対値が違うときは、大きい絶対値から小さい絶対値を引きます。残る向き、つまり答えの符号は、絶対値が大きいほうの数で決まります。

例 030を越えて左へ進む

(+3)+(−5)は、+3から左へ5進む計算です。

異符号の足し算。+3から左へ5進み、0を越えて−2に着く。1目盛りは1。
1目盛りは1。白い点が開始位置、赤い点が到着位置です。矢印全体の長さは5です。

(+3)+(−5)=−2

0からの距離は5−3=2で、0の左側に着くので−2です。絶対値が大きい−5の符号が、答えの符号になります。

反対に、(+5)+(−3)なら、右向きの分が2残るので+2です。比べるのは数そのものの大小ではなく、絶対値の大小です。 +3は−5より大きい数ですが、絶対値は3より5のほうが大きいため、例03の答えは負になります。

異符号で絶対値が等しいときは、ちょうど打ち消し合います。(+4)+(−4)=0のように、答えは0です。この場合は、正・負のどちらの符号も付けません。

0を足しても位置は変わりません。たとえば、(−4)+0=−4、0+(−4)=−4です。

引き算を足し算に直す

引き算は、引く数の符号を反対にして足す計算に直せます。正の数を引くなら負の数を足し、負の数を引くなら正の数を足します。この決まりは、引き算と足し算が逆の関係にあることから説明できます。

引き算は足し算を逆にたどる

7−2=5となるのは、5に2を足すと7に戻るからです。同じように、ある数から−5を引く計算は、「−5を足す前の数は何だったか」と考えられます。

例 04マイナスを引くとなぜ足すのか

(−3)−(−5)は、「ある数に−5を足すと−3になる。その数を求める」という計算です。−5を足すと左へ5進むので、その前の位置へ戻るには、−3から右へ5進みます。

引き算と足し算は逆の関係。+2から−5を足すと左へ5進んで−3になる。−3から−5を引くと逆に右へ5進み、+2に戻る。1目盛りは1。
1目盛りは1。上は+2に−5を足す移動、下は−3から−5を引く移動。同じ二つの位置の間を、逆向きにたどっています。

(−3)−(−5)
=(−3)+(+5)
=+2

−3から右へ5進むことは、+5を足すことと同じです。実際に、(+2)+(−5)=−3となるので、引き算の答えが+2だと確かめられます。

正の数を引く場合も、足す操作を逆にたどります。+3を足すと右へ3進むので、+3を引くときは左へ3進む、つまり−3を足すことになります。

ここでの「−」は、引き算の記号と負の符号です。「マイナス×マイナス」という掛け算の式ではありません。

変えるのは引く数の符号

足し算に直すときは、最初の数をそのままにします。「引く」を「足す」に変え、それと一緒に、引く数の符号を反対にします。この二つを一組で変えることが大切です。

例 05−4から+3を引く

(−4)−(+3)
=(−4)+(−3)
=−7

最初の−4は変えず、引く数の+3を−3にします。負の数どうしの足し算になったので、絶対値の4と3を足し、負の符号を付けて−7です。

なお、負の数を引くと、もとの数より大きくなりますが、答えが正になるとは限りません。 たとえば、(−8)−(−3)=(−8)+(+3)=−5。−8より大きくなっても、まだ0より小さい数です。

0を引くと数は変わりません。(−4)−0=−4です。0から負の数を引く場合は、0−(−4)=0+(+4)=4となります。

括弧を外して式を整理する

(+3)や(−3)の括弧は、符号を含めて一つの数だと分かるように付けたものです。式を短く書くときも、「何を足すか・何を引くか」という意味が変わらない形に直します。

一つの数を囲む括弧を外す

(+5)+(−3)のような足し算は、足し算の記号と、数を囲む括弧を省いて+5−3と書けます。さらに、先頭の正の符号を省けば5−3です。引き算があるときは、先に足し算へ直してから同じように整理できます。

5に足す・5から引くときの書き換え
括弧のある式短く書いた式
5+(+3)5+3
5+(−3)5−3
5−(+3)5−3
5−(−3)5+3

5−(−3)は、5+(+3)に直せるので5+3になります。括弧の前後の記号だけを暗記するより、引き算を足し算に戻して考えると、符号が変わる理由を確かめられます。

加減の混じった式は項で読む

足し算と引き算が混じった式も、引き算をすべて足し算に直すと、符号をもつ数の和になります。このとき、加えられている一つ一つの数を項といいます。項は、符号も含めて読み取ります。

例 06三つの数の加減を整理する

(−4)−(−7)+(−2)
=(−4)+(+7)+(−2)
=−4+7−2
=3−2
=1

−7を引く部分を、+7を足す形に直しました。項は−4、+7、−2の三つです。短く書いた後もこの符号を保ち、左から順に計算すると、−4+7=3、3−2=1となります。

括弧の中が式なら先に計算する

括弧の中に−2+4のような式が入っているときは、括弧全体が一つの計算のまとまりです。一つの数を囲む括弧と同じつもりで消さず、まず中の計算結果を求めると、ここまでの手順を使えます。

例 07括弧の中の和を引く

5−(−2+4)
=5−(+2)
=5−2
=3

引くのは、括弧の中の−2だけではなく、−2+4の計算結果です。その和が+2なので、「5から+2を引く」計算になります。

分数も同じ符号の決まりで計算

分数になっても、同符号・異符号の足し算や、引き算を足し算に直す決まりは変わりません。加わるのは、分母が違うときに通分して同じ大きさの単位にそろえる手順です。

通分して絶対値を比べる

分母をそろえると、絶対値の大きさを分子で比べられます。また、同じ大きさに分けた分を数えるので、足し引きするのは分子で、分母はそろえた値のままです。

例 08異符号の分数を足す

とを足します。分母の3と4を、共通の分母12にそろえます。

+
=+
=

絶対値はのほうが大きいので、答えの符号は「−」です。絶対値の差は=。分母は12のままで、8−3=5を分子にします。

同符号なら、通分した後で絶対値を足します。たとえば、+は、+に直せるので、答えはです。

負の分数を引くときも符号を変えて足す

負の分数を引くときは、その分数を正にして足します。最初の数は変えず、引き算を足し算に直した後で通分すると、符号の処理と分数の計算を分けて進められます。

例 09負の分数を引く

−
=+
=+
=
=

引く数のをにし、分母を6にそろえました。正の数の絶対値が大きいので、答えは正です。最後にを約分し、にします。

分母どうしを足したり引いたりはしません。符号を整理すること、通分すること、最後に約分することを分けて確かめると、途中の間違いを見つけやすくなります。

数直線で足し算・引き算を試す

数と計算記号を選ぶと、式と数直線が変わります。

(−2)−(−3)=+1

足し算に直すと、(−2)+(+3)です。

−2から右へ3進み、+1に着きます。

正負の数の加減を表す数直線 −2から右へ3進み、+1に着きます。白い点は出発位置、青い矢印は移動、赤い点は到着位置です。1目盛りは1です。 −6 −5 −4 −3 −2 −1 0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 右へ3
出発移動到着

1目盛りは1。0を足す・引くときは動かず、出発と到着が重なります。

正負の数の加減を振り返る

正負の数の加減では、符号の役割を読み分けることが、計算の出発点になります。式が長くなったり分数が入ったりしても、次の点を一つずつ確かめられます。

  1. 数の符号と計算記号を区別する。 括弧の中の−3は一つの数。数の間の「−」は引き算を表します。
  2. 足し算は符号と絶対値で決める。 同符号なら絶対値を足して共通の符号を付けます。異符号なら絶対値の差を求め、絶対値が大きい数の符号を付けます。異符号で絶対値が等しければ0です。
  3. 引く数の符号を変えて足す。 最初の数は変えません。負の数を引くと右へ進みますが、答えが必ず正になるわけではありません。
  4. 括弧を外しても数の意味を保つ。 加法に直した式は、符号を含めて項を読みます。括弧の中が式なら、まずその計算結果を求めます。
  5. 分数は通分してから計算する。 符号の決まりは整数と同じです。分母をそろえ、分子を計算し、約分できるときは約分します。

正負の数の足し算・引き算は、符号をもつ数の足し算としてつながっています。迷ったら引き算を足し算に直し、どちらの符号が残るかを絶対値から確かめましょう。

この記事を書いた人

Flowz

プログラミングと数学のしくみを、図や具体例で伝えています。「なぜそうなるのか」を、一つずつ考える学びを大切にしています。